「そろばんを習えば、算数が得意になるはず!」
そう思って、お子さんの習い事候補にそろばんを考えている親御さんは多いですよね。
筆者のプロフィール
- 珠算検定:3段 ※中1で取得
- 暗算検定:4段 ※中2で取得
- 高校受験時、塾内で計算スピードと正確さは圧倒的No.1 ※中2後半からは進学塾に通う曜日が増えたため、そろばんは通える日だけ通っていました
そんな「そろばんガチ勢」だった私ですが、自分の子供にはそろばんを習わせるつもりはありません。
有段者だからこそ断言できる、そろばんの「真実」と、低学年のうちに本当に時間をかけるべき学習についてお伝えします。
1. 「そろばん脳」になれるのは3級からという壁
よく「そろばんをやると頭の中にそろばんが浮かぶ(珠算式暗算)」と言われますが、実はそこに至るまでには高いハードルがあります。
頭の中にそろばんが置けるのは「3級」から
そろばんをやっていて「計算が得意だ」と実感できるのは、最低でも2級〜3級を取得した頃。
なぜなら、頭の中にしっかりそろばんの珠をイメージできるようになるのが、この級あたりだからです。
級が低いと「ただの計算機」で終わる
3級に届かないレベルだと、まだ「頭のそろばん」が完成していません。その状態では、単に目の前の道具を操作しているだけで、算数脳や暗算力には直結しにくいのです。
2. 現代の子に「週3回の練習」は現実的か?
そろばんを「武器」にするには、ピアノと同じで圧倒的な練習量が必要です。
私が段位を取った頃のルーティンはこうでした。
- 週3回の教室通い(1回1時間)
- 教室がない日は家で30分~1時間の練習
- どうしても時間が割けない日でも5分は指を動かす
指の感覚を忘れないためには、これだけの積み重ねが不可欠です。
しかし、習い事や宿題で忙しい現代の子どもたちにとって、週3回+毎日の自宅練習をそろばんに捧げるのは、かなり過酷ではないでしょうか。
「週3回そろばんをする時間があるなら、その時間をもっと別のことに使った方がいいのでは?」と私は考えてしまいます。
3. 計算が速くても「数学」が得意になるとは限らない
ここが一番の落とし穴です。
3段を持っていた私は、計算スピードでは誰にも負けませんでした。でも「数学が得意」と言うには足りない部分がありました。
算数・数学で本当に差がつくのは、計算力ではなく以下の力です。
- 図形を空間で捉える力
- 文章から状況を理解し、式を立てる力
- 論理的に筋道を立てて考える力
そろばんはあくまで「計算機」です。計算は速いに越したことはありませんが、それ自体は「道具」であって、「解き方を考える力」を育ててくれるわけではないのです。
4. 低学年こそ「そろばん」より「読書」をすべき理由
小学校低学年までの貴重な時間があるなら、そろばんよりも**「読書」**に充てることを強くおすすめします。
- 文章題を解く鍵は「読解力」「式が立てられない」原因の多くは、計算力不足ではなく、文章を読んで状況を理解できていないことにあります。
- 全教科の土台になる読解力は、国語や算数だけでなく、将来すべての教科を理解するための「受講能力」になります。
計算という「作業」を速くすることよりも、**「言葉を理解する器」**を大きくしてあげる方が、結果として算数の文章題にも強くなります。
5. そろばんの代わりに家庭でできること
「そろばんを習わせないなら、代わりに何をすればいいの?」
有段者の私が考える、将来の算数・数学に繋がる学習法をまとめました。
| 伸ばしたい力 | 具体的な学習方法・遊び |
| 読解力・思考の土台 | 読書・読み聞かせ 文章から状況をイメージする力を養う。 |
| 空間認識能力 | レゴ・積み木・立体パズル 頭の中で図形を動かす感覚を育てる。 |
| 論理的思考力 | ボードゲーム(将棋・オセロ等) 「こうすれば、こうなる」という先を読む練習。 |
| 必要な計算力 | 算数ドリル(短時間集中) 1日5分、集中して解くだけで十分。 |
まとめ:限られた時間を「思考の土台」作りに
そろばんは、極めれば素晴らしい技術になります。
でも、中途半端に習って「計算だけ速い子」を目指すよりは、今のうちから読解力や空間認識能力を鍛えてあげる方が、わが子の将来の選択肢を広げると私は信じています。
「みんながやっているから」ではなく、**「今、この子に本当に必要な力は何か」**を、そろばんの珠を弾く音から少し離れて考えてみませんか?
