「隣の小学校、PTAがなくなったらしいよ」 「いいな、うちの学校もなくならないかな」
保護者同士の会話で、そんな話題が出た経験を持つ方は少なくないでしょう。しかし、「PTAがなくなった後、実際どうなったのか」まで耳にしたことがある方は、意外と少ないのではないでしょうか。
結論から言うと、PTAをなくした学校の多くでは「PTAに代わる新たな組織や制度」が出来上がっています。不要だと思って解散したはずなのに、結局は別の枠組みが必要になる。「私たちは『PTA』という名前に縛られていただけなのでは?」と感じてしまうような現実があるようです。
「係制」や「ポイント制」の実態
具体的な事例としてよく耳にするのが「係制」や「ボランティア制」への移行です。「旗振り」「運動会のお手伝い」「読み聞かせ」「授業のフォロー」など、細分化された係がいくつも用意され、「できる人ができる範囲で担当してください」という仕組みです。
学校によっては「1家庭につき〇個の係を担当」「ポイント制で年間〇ポイントを達成する」といったルールが設けられることもあります。
これを聞くと、「一人ひとりの負担が軽くなるなら、それでいいのでは」と思うかもしれません。しかし、実態はそう単純ではありません。
なぜなら、ポイント制を導入すれば「ポイントを管理・集計する人」が必要になります。係制であっても「各係の仕事内容を周知し、メンバーを割り振る人」が必要です。結果として、全体を調整する裏方には決して軽くない負担がのしかかり、新たな管理業務が増えてしまうのです。
こうした状況を見聞きしていると、「PTAをなくすことが、本当に負担軽減につながっているのだろうか?」と深く考えさせられます。
形が変わっても、変わらない大切なこと
実は、「PTAを廃止して新しい仕組みにしたけれど、結局いつも動いてくれるメンバーはPTA時代と同じ顔ぶれだった」という、笑い話のようなオチがつくことも少なくありません。
ポイント制であれ、係制であれ、それを成り立たせるためには必ず「裏方として管理や調整をしてくれる人」が存在します。組織の看板を下ろしたからといって、魔法のようにすべての負担がゼロになるわけではないのです。
こうして現実を見ていくと、本当に必要なのは「PTA」という決まった枠組みや、それに代わる新しい組織そのものではないのだと気づかされます。
一番大切なのは、保護者一人ひとりが「学校や子どもたちに関心を持つ心」です。
どんな仕組みになったとしても、見えないところで汗をかいてくれる方々へのリスペクトを忘れずに、まずは関心を持つこと。そして、「今の自分にできることを、できる時にやろう」と思う気持ち。
結局のところ、組織の形よりも、その一人ひとりのささやかな思いの積み重ねこそが、子どもたちの豊かな学校生活を支えていくのではないでしょうか。
