保活しているパパママへ、今更かもしれませんが「保育の質」ってごぞんじですか

2022-09-11

 保活って大変ですよね。待機児童ゼロを目指して行政が頑張っていて、少子化なのに、いまだスムーズに入園できないなんて話も聞きます。しかしその一方で不人気園も出始めて、いよいよ保育園も人気のない保育園は淘汰されていく時に入った…なんて行政の子育て支援を担当する人も話していました。この不人気園は「保育の質」に問題ありの場合があったりします。

 さらっと「保育の質」という言葉を使いましたが、この保育の質をごぞんじですか。初めて保活をする人なら誤解するかもしれない「保育の質」について、少しですがご紹介します。

保育の質につながるわかりやすい基準「先生一人当たりの子どもの人数」

 保育の質をはかる物差しとして、「先生一人当たり保育する子どもの人数」がよく使われます。国で定める基準が保育園の最低限守らなくてはならないルールであり、保育園である以上これを守らなくてはなりません。自治体によって国を上回る(手厚い)独自の基準があったり、保育園によってさらに手厚い基準を設けていたりします。

 最低限の条件である国のルールが、0歳児ならば先生1人に対して3人、1~2歳児ならば先生1人に対して6人です(待機児童問題がある昨今では、この先生が保育士でなくてもOKと緩和されています)。昭和の時代から考えると手厚くなっているのかもしれません。しかし、この人数を安全に保育することがいかに結構大変なことかは、子どもを抱えるパパママならすぐにわかりますよね。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/10/dl/s1006-7e_0005.pdf

厚生労働省HP保育士のガイドラインより

 ちなみにH28年からは待機児童を解消し、受け皿拡大が一段落するまでの緊急的・時限的な対応として、更に緩和措置が取られています。具体的には、朝や夕方など園児が少なくなる時間帯は、保育士2名のうち1名は子育て支援員研修を修了した者等に代替可能とする、などです。つまり保育士さんに代わる人がいればOKと言う質の低下を意味します。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000146612_1.pdf

厚生労働省HPより

保育の質を左右する先生の経験値

 国の定める基準では子どもを安全に保育できないと考える保育園は、クラスを横断的にフォローできるサブ担任(ベテラン保育士)をつけるなど対応されています。しかし、待機児童問題で保育園が乱立した現在、理想と現実が異なります。どこも人材不足。最低限の人数で運用されている保育園もあるのだと理解した方がいいでしょう。

 更に数字で表れない問題として、経験の浅い先生が非常に多い事があげられます。待機児童問題で保育園の数が急激に増えました。それを補うための保育士も増えました。資格は取得していてもまだまだ経験不足の保育士が多いです。

 もちろん経験が浅いからダメなのではないです。保育園全体を見渡した時、やる気があって元気な若手の先生はとても魅力的です。しかし、そう言えるのは、ベテランの保育士さんがしっかりフォローしてくれる体制があってのこと。例えば、保育士3年~5年目で園長を務めている保育園もあると言う実態を、若手なのに大抜擢されたと受け止めるか、担い手がいなくてそうなっていると受け止めるか・・・です。

 経験不足により判断ができない、頑張りだけではどうしても抜けてしまう所はあります。若手だけでは仕事にならないのは、他の仕事でも同じ。子どもの命を預かる職場であればなおさらです。

保育の質向上に向けた行政の取組@杉並区

保育の質向上のため、例えば杉並区ではこんな取り組みをしています。

保育施設の保育の質の維持・向上(地域の中核園)
保育の質の維持・向上を図るため、地域の「中核園」として以下の取組を行う。
(1) 地域の保育施設への訪問、助言・相談
中核園は、地域の保育施設に対して定期的に訪問し、保育のあり方として子どもの育みへのきめ細かい保育の実践を支援し、また、保育現場での相談などを通して保育の質の維持・向上に努めていく。
(2) 各施設の保育に関する情報共有の場の提供
現在保育課が行っている地域懇談会などは、地域での情報共有を図る場として、中核園が中心となって身近な施設同士が保育に関わる情報を共有できるように発展させていく。こうした取組を通じて施設間の交流が深まり、地域の特性を踏まえた連携に繋げていく。
中核園は、保育の質の維持・向上を図るために、地域の保育施設と連携して勉強会などを開催する

杉並区HPより

 この中核園を担っているのは、7つの区立保育園です(令和5年度以降10園に変更予定)。一方、その中核園にぶら下がる保育園は大小さまざまで260園程だそうです。個人的にはちょっとぶら下がる数が多いようにも感じますが、園庭開放、先生同士の懇談会、中核園からのお便り、電話相談など様々なサポートで保育の質向上に貢献されている活動のようです。

 直近での取組みの成果がアンケートにまとめられ、保育園に取ったアンケートの結果も紹介されています。現場の生の声として、杉並区で保活をされている方は参考にされてみてはいかがでしょうか。

https://www.city.suginami.tokyo.jp/res/projects/default_project/_page/001/071/544/hoken0530_9.pdf

杉並区HPより